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就職氷河期世代を簡単に救える方法を教えちゃる! JGPという秘策。

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 先日来年2020年度の予算を決めるための概算要求がまとまりました。

これは各省庁が提出する「予算希望」の額なので、ここから国会審議を経て実際の予算が決まっていきます。

その中でも注目されるのは厚生労働省や経済産業省などから提出された「就職氷河期世代への支援策 1,344億円」です。

 

この「就職氷河期世代の支援策」に関しては以前のこちらのブログでも取り上げましたが 

 

その柱になる内容がひどい。

支援の柱になるのは成功報酬型の民間委託だ。専門知識やスキルを教える民間教育機関が非正規雇用者に半年程度の訓練や職業実習をした場合、国から経費の一部として最大20万円出す。さらに受講者が訓練などを始めてから8カ月以内に正規雇用の職に就き、半年間きちんと働ければ追加で最大40万円を支給する。

※2019年8月16日の日経新聞より

ということで、ざっくばらんに言うと

民間業者が半年間教育を行ったら20万円プレゼント!

さらに、8ヶ月以内に正社員になれたら追加で40万円プレゼント!

というとんでもない「民間丸投げ方式」です。

 

ただ、「民間丸投げ方式が駄目だというならどうすれば良いのか?」と思う人もいらっしゃるかと思います。

そこで今回は「就職氷河期世代を簡単に救える方法」ことJGP (就業保証プログラム)について書いてみます。

 

【今回の記事の内容】

 

JGP (就業保証プログラム)とは?

JGP (就業保証プログラム)というのは端的に言えば

 

公的部門が社会的に許容可能な最低賃金で、希望する労働者を雇用し、働く場を与える政策

 

のことです。

※中野剛志著「全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室」P214

 

あえて乱暴に言ってしまえば「失業者を全員国家が公務員として雇用する政策」とも言えるでしょう。

もちろん強制労働ではありません。

あくまで働く意欲がある人を対象にしたものですし、その賃金は社会的に許容されるレベル・・・つまり、「そんなに貰えるんだったら民間で働く意味ないじゃん! そっち行くわ!」とは思わない程度。

具体的には全国の最低賃金レベル近辺となります。

 

JGPの良いところ

先程も書いたようにJGPはあくまで働くことを希望する人に国が働く場所を提供するものです。

例えば地方自治体や地域社会などが人手不足で困っている職業分野を洗い出して、その仕事を失業者に紹介します。

「それだったらハローワークと一緒じゃないの?」

「人材派遣会社と一緒なじゃないの?」

と思われるかもしれません。

確かに形態は似ているかもしれませんが、あくまで国あるいは地方自治体が直接雇用するというところが違います(この中間に人材派遣会社を入れたら、そこでピンハネされて元の木阿弥です)。

 

今回政府が行おうとしているような民間丸投げは、就職氷河期世代への支援という大義名分の下に行われる特定民間企業への利益供与ですが、JGPはあくまで公的機関による失業者の雇用対策です。

 

就職氷河期世代にとって重要なのは「働いて稼ぐ」こと

同じ失業対策なら失業者へ現金を給付すれば良いという人もいます。

今回の政府による支援策が発表された時にも、そのお金を氷河期世代に分配すれば良いと言っていた人もいました。

ですが、それでは根本的な解決にはならないのです。

理由の1つは、一回や二回お金を配っても結局貯蓄に回ってしまい、経済対策にならないこと。

失業者や過酷な労働環境や賃金の安い仕事についている人たちを支援すること、それ自体ももちろん大切です。しかし、それと同じくらい大切なのは現在のデフレ不況から脱して、経済を成長軌道に乗せることであり、そのためには消費者がもっとお金を使うような環境にしなければなりません。

デフレというのは物の値段が安くなることであり、逆に言えばお金の価値が高まっていくことです。つまりデフレであればお金は今使うよりも将来のために残しておく方が得になるのです。

ですから、失業者にお金を配ったとしても、デフレ不況においては誰もが貯蓄に回してしまい経済刺激策にはならないということが問題なのです。

 

そしてもう一つの理由。それは就職氷河期世代にとって重要なのは、お金そのものよりも「まともに働ければ、まともな生活ができるだけの給料がもらえる」という当たり前の充実感と、それによる存在意義を示してあげることです。

先程紹介した以前のブログにも書きましたが、就職氷河期世代はとにかく自分の努力ではなんともならない、社会の構造的な問題によって社会から切り捨てられた世代です。

どんなに自分が頑張っても社会から認めて貰えない。

しかもそれを自分の努力が足りないせいだと切り捨てられる。

そんな状況において心の根深い所まで染み込んだ「圧倒的自己肯定感の低さ」が、この世代の抱える問題の根幹です。

 

これを解決するには、ちゃんと自分が頑張れば正当に評価されるということを目に見える形で示してあげなければならないのです。

ただお金を配るだけでは「お前たちの世代大変だったんだってな。ほらよ、金が欲しいんだろ? 恵んでやるよ!」という卑屈な感情を助長させるだけなのです。

 

「面倒くさ!!」と思われる人もいるかもしれません。

正直それを否定するつもりもありません。

ですが、この国が就職氷河期世代への対策を放置し続けたことで、それほどまでに強烈に「社会から切り捨てられた」という感情を刻み込んでしまったのも事実なのです。

 

JGPの課題

ちょっと話が脱線してしまったので、JGPに話を戻しましょう。

先程も書いたようにJGPというのは簡単に言ってしまえば「失業者を全員、国家が公務員として雇用する政策」です。

 公的機関が雇用をすることで、民間部門が不況に陥った時にはその分公的機関が雇用を保証します。つまりJGPによって雇用される人たちが増えるということです。

しかし、逆に民間部門が好況になれば、そちらの方がお金や労働環境が良くなるので、そちらに労働者が流れて行きます。

言い換えれば不況時には公的機関の負担額が増えて民間の負担額が減る。そして、好況時には逆に公的機関の負担額が減って民間の負担額が増えることになります。

つまり、経済状況に合わせて半ば自動的に公的部門と民間部門の労働に対する負担額が調整される訳です。

これは経済学的には「自動安定化装置」「ビルトインスタビライザー」と言われます。

 

公的機関で不足している職務に失業者を割り当てるという意味では、単純に公共事業を行うよりも雇用のミスマッチを減らせますし、幅広い業種の職業を準備できる可能性が高いです。

また、いくらミスマッチを減らせるとは言え、完全なマッチングは無理でしょう(変な話、どんな婚活パーティでもあぶれる人はいますよね、あれと同じです)。

さらに、好況になれば民間部門へ労働者が流れていくとは言っても、人それぞれの個性や生活環境などの都合もありますので、そう簡単に適材適所を割り当てるという訳にはいかないと思います。

 

そういう意味で様々な検討課題があるとは思いますが、少なくとも「就職氷河期世代を支援する」という大義名分の下、特定の人材派遣会社(どことは言いませんが)に利益供与するような政府の方針よりは遥かにマシでしょう。

 

財源はどうするのか?

しかしこのような「国や自治体が直接雇用する」という話をすると必ずやり玉に上がるのが「借金大国の日本で、財源はどうするんだ?」ということです。

 これについてはこのブログでも何度も取り上げていますが、そもそも日本の借金問題というのは存在しません。完全なデマです。

※よろしければ下記のページをご覧ください。

 むしろ日銀が異次元緩和を行って以来500兆円近い貨幣が発行されていますが、景気回復の兆しは全くありません。

なぜなら、その新規に発行された500兆円近いお金は我々民間人や民間企業ではアクセスできない「日銀当座預金」という口座に山積みになっているからです。

この日銀当座預金というのは、銀行と政府だけがアクセスできます。

しかし、民間企業がこの不況で誰もお金を借りない以上、銀行も日銀当座預金からお金を借りようとは思いません。そして、ご存知の通り日本政府も緊縮財政一本槍ですのでお金を使いません。

つまり、誰も使わない口座にどんどんお金が積み上がっている訳です。

そんなことで景気が良くなる訳がありません。小学生でも分かる理屈です。

 

つまり、日本政府はお金を使うところがなくて困っているのが現実なのです。

だったら、JGPでガンガン人を雇ってお金を使えば良い!

それだけです。

確かに先程も書いたようにJGPには制度上、運営上の課題があるのは事実です。それは重々検討しなければならないでしょう。

ですが、こと「財源」に関しては何の問題もないというのが事実なのです。

むしろ日銀当座預金に積み上がっているお金を国民経済に回すためにも、積極的にJGPでお金を使うことを考えた方が余程有益です。

 

 

特定民間企業に就職氷河期世代を売り飛ばすような真似をするよりも、余程確実に彼らのためにできることが日本政府にはあるのです。

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆