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「GDPがプラス → 日本は好景気!」にならない理由を簡単解説

さて、昨日今年の1月から3月までの日本の国内総生産「GDP」が発表されました。

先日公表された景気動向指数が「悪化」していたことから、今回のGDPもさぞや悪いことだろうと予測されていましたが、予想を裏切って「GDPプラス0.5%!」という結果が出ました。

私はこの結果を見た時に、どうせまた

 

「やっぱり日本は好景気! 安倍政権バンザイ!」

「消費増税しても問題なし!」

 

的な話になるんだろうなぁ・・・とうんざりしていましたが、案外どこのメディアもそこまで楽観論ではないようで、ちょっと驚きました。

むしろ「内需の柱である個人消費は相変わらず弱いから、GDPがちょっと良いと言っても実態はそんなに良くない可能性が高い」という慎重な意見が多いように思います。

逆に安倍政権の方が「よっしゃー! GDP上がったで!! 消費増税一直線!!」みたいに、無知ゆえの超楽観論に浸っているように思えます。

 

でも、多くの人は「日本経済の規模を示すGDPが伸びているっていう数字が出たのなら、景気は良いってことなんじゃないの?? むしろ何でメディアは慎重派なの??」と思うのではないでしょうか。

 

そこで今日は「GDPが伸びているからと言って、簡単に喜べない理由」を解説したいと思います。

 

そもそもGDPってなんだ?

GDPというのは国内総生産のことです。英語で言うと「Gross Domestic Product」なので、その頭文字を取って「GDP」です。

簡単に言ってしまえば、1つの国の中で稼いだお金の合計金額になります。ただ、あくまで「国内」なのでいくら日本人が稼いだお金であっても、「海外」で稼いだお金はGDPに含まれません。

※昔はGNP(国民総生産)という指標が使われていましたが、あれは「国民」が稼いだお金なので、海外での所得も入ります。そこが大きい違いですね。

 

さて、実は今回の「GDPが上がったけど景気が良いとは限らない」という現象の理由は、このGDPの定義に含まれています。

 

海外からの輸入分はGDPに含まれない。

GDPはあくまで「国内」で稼がれたお金の総量です。

ですので当たり前ですが、海外から商品(いわゆる完成品だけじゃなくて、原材料とか原油とかも含む)を仕入れた「輸入」は当然GDPに含まれません。そりゃそうですよね。国内で稼がれたお金じゃないんですから。輸入は“海外の人たちが海外で稼いだお金”です。

したがって、「輸入」に伴う金額は、国内で稼がれた金額の総量からあとで差し引くことになっています。「じゃあ、最初から足さなければ良いじゃないか」と言われそうですが、国内で稼いだお金のうち、何%が海外からの輸入した物のコストかを調べるのは中々骨が折れます。

 

分かりやすく単純化した例として、たとえばアイスクリームを作って販売している人がいるとしましょう。

原料には牛乳の他に、バニラビーンズ、砂糖など海外から輸入されるいろいろな素材が使われています。さらに、パッケージに使うプラスチックなどは元は石油です。

1つの商品でもそんな風雨にいろんな物に海外から輸入された物が含まれています。

自分が販売した金額の中から、その輸入品の金額を予め差っ引いて申告しろって言われてもちょっと現実的じゃないですよね・・・。

 

という訳で、GDPの計算にも一旦国内で稼がれた金額を合計して、そこから輸入分を後から差っ引いて「純粋に国内で稼がれた金額」を計算するという訳です。

 

ここまでよろしいでしょうか?

 

輸入が減ると経済が成長したように見える??

この輸入分を後から差し引くというのが、今回の「GDPが上がったけど景気が良いとは限らない」の原因です。

 

分かりやすいように超簡略化して説明します。

 

例)

1-3月の3ヶ月でGDPが1億円、輸入が500万円だったとします。この場合、GDPは9,500万円ですね。

次に4-6月の3ヶ月でGDPが1億円、輸入が同じく1,000万円だっとします。この場合はGDPは9,000万円になります。

GDPは1-3月に比べて(前期比)約15.3%ダウンです。

そして、次の7-8月の3ヶ月でGDPが1億円、輸入が減って100万円だっとします。この場合はGDPは9,900万円になります。ただ、GDPは4-6月に比べて(前期比)10%アップです。

 

んんん???

おかしくないですか???

GDPは1億円で変わってないのに、GDPの“前期比”が10%アップ???

そうなんですよ。

GDP自体は全然増えていないにも関わらず、輸入の差し引きが分が減った・・・つまり輸入額が減っただけでGDPの前期比はプラスになっているんです。

 

上の例ではGDPは1億円で固定にしましたが、これが9,500万円とかになっても同じです。輸入額が100万円だったらGDPは9,400万円。この場合は前期比で4%アップです。GDPが500万円減っているにも関わらず「前期比は4%アップ」。

 

統計は数字の裏を読めなければ意味がない。

いかがでしょうか?

これが今回の「GDPが伸びているからと言って、簡単に喜べない理由」です。今回のGDPプラス0.5%というのは正にこのことが起こっているのです。

ざっと数字で見てみましょう。

 

民間最終消費支出が「-0.1%」

設備投資が「-0.3%」

外需(輸出)が「-2.4%」

 

いわゆる内需と呼ばれる国内需要は軒並みマイナスです。
ところが、上の例のように「輸入」が大きく落ち込み「-4.6%」になったので、計算上GDPがプラスになってしまったということです。

 

ただ、これは計算上そうなってしまうので、ある意味仕方ありません。

これをもって「安倍政権は統計マジックを使って日本が成長しているかのように粉飾している!」とまでは、ちょっと言えません。

 

ですが、この数字を持って安倍政権の「日本は経済成長している」「日本経済のファンダメンタルズは底堅い!」とか言い張るのは、流石にどうなんでしょうか。国民を馬鹿にしすぎなような気がします。

っていうか、もっと言えばどこかの経済財政担当大臣が

 

「内需の増加傾向は崩れていない ( •̀∀•́ ) ✧ドヤ━━」

 

とか言っちゃうのはどうなんでしょうね。政治家として。いや、人として。

ぶっちゃけ、そこまで考えずに官僚から「大臣、GDPはプラス成長でしたよ」という言葉だけを受けて「そーか。そーか。よっしゃ。」程度にしか考えていないのでしょう。

 

数字だけに振り回されるな!

多分、多くの国民もニュースや新聞で「GDPプラス!」という言葉だけを見て、「何かよくわからんけど日本経済自体は景気が良いらしい。じゃあ、何でうちの生活は苦しいんだ・・・」と思う人が多いかと思います。

でも、そうじゃないんですよ。

日本経済は好景気でも何でもない。たまたま計算上そう見える数字ばかりが独り歩きしている。それだけなのです。

 

数字よりも何よりも大事なのは、国民生活の実感です。

数字上回復していようが、国民の大部分が景気回復を実感できないようなら、それは結局景気回復していないことと同じなのです。

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆