Dive Into The World

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イギリスの次はイタリア。ほころび始めたEUのつながり。

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ブレグジットで揺れるEUですが、イギリス以外でもEU崩壊の序曲は始まっているようです。先週の時点で既に声明を出していたところですが、中国が進める一帯一路構想にイタリアが参加することが正式に決まったようです。 

 

「中国、窮状のイタリアに触手 「一帯一路」覚書を締結 - 毎日新聞

欧州歴訪中の中国の習近平国家主席は23日、ローマでイタリアのコンテ首相と会談し、両国は習氏が提唱する経済圏構想「一帯一路」に関する覚書を締結した。主要7カ国(G7)が一帯一路に参加するのは初めて。中国は欧州連合(EU)内の経済大国イタリアを抱き込むと共に湾岸拠点を確保することで、欧州における米国主導の対中包囲網を突き崩す狙いとみられる。米国、EUは共に警戒を強めるが、両者の足並みは乱れ、中国に付け入る隙(すき)を与えている。」

 

中国の一帯一路構想とは何か

中国の一帯一路構想というのは、「新・シルクロード」と言われるように「シルクロード」として有名な、ユーラシアの東端から西端をつなぐ古代の貿易ラインを再構築しようという構想です。

当然”中国”の構想ですから、中国にとって有利な構想となっています。

具体的には、そのシルクロード沿岸の国々の陸運事業と海運事業に必要なインフラ整備(鉄道や港湾の整備など)を中国の貸付金によって行っていくものです。

そのような一帯一路構想に参加することをイタリアは正式に表明してしまいました。

 

なぜイタリアは一帯一路構想に参加したのか?

これはある意味簡単というか単純な話です。

イタリアは巨額の債務を抱えて、すでに250兆円ほどになっています。イタリアが独自通貨を持っていれば、自国で通貨や国債を発行し必要な財政政策をとることが可能です。しかし、厄介なことにイタリアは共通通貨ユーロを発行しているため、それができません。

通貨や国債を発行するには欧州委員会の承認が必要になるわけですが、EUにはマーストリヒト条約によって対外債務の上限が決められていて、イタリア国債はもう発行できる上限を超えているのです。

したがって、経済政策に必要なお金をEUから調達することはできない。むしろ欧州委員会からは「もっと財政を絞れ!」と節約を望まれているわけです。

 

そんな中で出てきたのが、この中国の一帯一路構想。

本来お金を出してくれるはずのでEUは”びた一文”融資をしてくれない。

そして自分たちでお金を発行することもできない。

そんなイタリアにとってノドから手が出るほど欲しい外国からの融資に中国が名乗りを上げてくれたわけです。

 

イタリアにとってはまさに「願ったり叶ったり」というところでしょう。

ところが話はそんなに甘くありません。

 

中国の一帯一路構想の実情

確かにイタリアの窮状を考えれば「インフラ整備代を中国が出してくれて、しかもイタリアの経済が潤うならWin Winじゃないか」と思われるかもしれませんが、さにあらず。

たとえば中国の援助で建設されたスリランカ南部ハンバントタ港。この港が建設されるに当たり中国が援助をし中国との合弁事業として立ち上げたたわけですが、その最高金利は6.3%の金利にも上昇。最終的にはその合弁事業の株式の70%を中国国有企業に99年間貸与せざるを得なくなりました。

つまり、かつての香港のようにこの港も99年間中国の植民地になってしまったわけです。

 

 そして実はすでにイタリアは、イタリア北部にあるバードリーグレという港街の開発事業に当たり、中国からの融資を受けて開発をスタートさせてしまいました。

その港湾事業を営んでいるのが中国の国有企業の最大手「中国援用海運集団」。じつはこの会社はイタリアに先んじてお隣ギリシャの最大の港であるピレウス港の運営権も既に取得しています。

 

中国の招き入れたのはEU自身だった

このようなイタリアの動きに対して、最近中国への警戒を強めているEUはイタリアに対して「中国との二国間協定を話し合うことは最良策ではない」などとして牽制しているようです。

ただ、もうそれも時既に遅し。

上記のように既に事業は始まってしまっており、中国の手はEU諸国の中に入り込んでしまっているのです。

 

EUはそのようなイタリア牽制を行う暇があったら、イタリアを緊縮財政によって縛り上げる前に、むしろ必要な財政政策を行えるようにサポートをするべきでした。しかし、EUはそれを行わなかった。

EUの「国債をGDP比3%に収める」という”経済学”的な決めごとを重視するあまり、イタリアを見放した。その結果がこの中国の動きを導いたのです。

 

前出のスリランカのハンバントタ港のように、イタリアの港が中国管理の港となった時、果たしてどのような対策をEUがとるのか・・・。

イギリスのEU離脱劇ばかりが取り沙汰される昨今ですが、既にそれ以外の場所でもEU崩壊の序曲が始まっているのかもしれません。 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😊