Dive Into The World

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日本の科学力再生へ! 世界から二千人を超える科学者が集結する!

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いや〜〜良かった! 本当に良かった!

とりあえず最悪のシナリオは免れた!

というのが率直な感想です。

 

「何の話だ??」って?

私がこのブログで何度も取り上げている次世代加速器”国際リニアコライダー”プロジェクトがようやく日本での建設に向けて動き出すことになりました! よっしゃーーーー!!

ILC(国際リニアコライダー)って何?

日本ではさっぱり報道されていないのですが、このILC(国際リニアコライダー)というのは

 

「この宇宙はどのようにして始まったのか?」

「ビッグバン以前の宇宙はどのようになっていたのか?」

「宇宙の大部分を占めながら、その存在が明らかになっていないダークマター(暗黒物質)とは何か?」

 

という、今人類が接している宇宙の根源的謎を解明するための超巨大プロジェクトです。その謎に迫るため、地下に全長20kmにも及ぶ巨大実験施設の建設が必要になります。その建設候補地に日本の岩手県が挙げられていたのです。

それを実際に日本でやるのかどうかの決断の締切が3月7日に迫っていたのですが、ようやくこの締切1日前に日本政府が建設に向けて動きだすことを表明しました。

 

これが実現されれば世界100カ国以上(!)の科学者たちが日本に集結します。その数2,000人以上!

 

ギリギリ滑り込みセーフだった政府決断

「締切1日前かぁ。まぁ、ギリギリ間に合って良かったじゃん」と思うことなかれ。

なんとこの施設建設について、日本政府は何と5年以上もの間、返事を保留にしていたのです! 5年ですよ!

このプロジェクト自体は実は2004年頃から既に世界中の科学者の間で議論され、2013年には日本が中心となって進められるべきだという結論に至り、日本政府の決断が迫られていたのです。

で、ようやく締切1日前に決断した・・・と。

政治的決断には時間が掛かるものですが、いくら何でも遅すぎだろ!!!!

 

このプロジェクトには世界中の技術者たちの関心が集まっていますが、何しろ科学技術の研究というのは時間がかかります。十年あるいは何十年という単位です。「もうちょっと考えさせて」と言っても待てる限界があるのです。

また、欧州では2020年から新しい科学技術研究の計画をスタートさせる予定になっているのですが、その計画とこのILCを連携させるにはこのタイミングで決断しなければなりませんでした。

 

つまり、あと一日決断が遅かったら、日本は世界中の科学者たちから見限られて、見捨てられることになっていた、と言っても過言ではない状況でした。

 

宇宙の謎に迫るだけじゃない。ILCが生み出す価値。

科学にあまり興味がない人であれば、もしかしたら「宇宙の謎を解明するなんて言われても、生活にあまり関係ないし・・・」と思われるかもしれません。

ちょっと待って!

そんなことはありませんよ!

たとえば、病院で使われるCTスキャンやレントゲン、それにMRIなどの検査技術も元はILCと同じ「加速器」の技術から生まれたものです。がんの早期発見ができる「PET検査」(陽電子放射断層撮影)も同様。そして、もっと身近な例は、今私達が毎日活用しているインターネットの技術も、元々はスイスにあるCERNという素粒子研究施設の科学者たちが情報共有のために生み出した技術だったのです。

このように「宇宙の謎を解き明かす」ということ以上に、それにまつわる副産物によって私達は日頃多大な恩恵を受けているのです。

 

その最先端モデルであるILCが日本で建設されるとなれば、今の我々には予想もつかないような新しい技術が生み出されている可能性も非常に高くなります。

 

実は低迷しつつある日本の科学技術

そしてもう一つ強調しておきたいのは、このILCが日本で建設されることによる、日本の科学技術力の再生です。

ここ数年立て続けにノーベル賞受賞者を排出しているので実感がないかもしれませんが、今の日本の科学技術力は非常に危険な水域に低下しつつあります。

去年の6月に政府が閣議決定した今年度の科学技術白書の内容は「日本の科学技術は力が急激に弱まった」という恐るべき内容。それによると、日本の論文数は2004年の6万8000件をピークに2015年は6万4000件に減少。主要国で減少しているのは日本だけというのが現状であり、日本の科学技術力はもはや衰退期に入ったといえるのです。

 

その理由の一つが研究予算がつかないこと。

科学技術関係予算の伸び率を見ると、2000年をベースにして考えると


日本は2018年度で1.1倍
米国は2017年度で1.8倍
韓国は2016年度で5.1倍
中国は2016年度で13.5倍


と伸びが顕著となっているのです。
日本が1.1倍にしか増えていないにも関わらず、韓国でさえ5.1倍、中国に至っては2016年でも13.5倍ですので、この差はもっと開いているでしょう。
これだけ諸外国と予算に開きがあれば、「日本の科学技術は力が急激に弱まった」のも当たり前です。

 予算がつかなければ当然研究はできないし、研究員も養えず、技術や知識は衰える一方になります。”資源小国”日本にとっては、それは致命的なのです。

 

それがILCのような国際プロジェクトが立ち上げられば、堂々と予算がつけられるようになりますし、何より海外からの支援も増大します。

 

そんな中で、今回のILCプロジェクトの始動(・・・正確には始動に向けて各国と協議すると表明しただけですが)は、日本の科学技術力の再生に向けてとても大きな起爆剤になるのは間違いないでしょう!

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆