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厚労省不正統計。原因と目的に潜む闇が次々と明るみに。

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最近にわかに注目を集めている、厚労省の賃金統計の不正問題。

一言に「賃金統計不正問題」ということになっていますが、これは実は2つの大きな問題に分かれています。

 

全数検査するはずが抜き取り検査しかしてませんでしたww問題

1つは以前にもこのブログで取り上げたように、従業員が500人以上の大規模企業においては賃金を本当は全数検査しなくてはならなかったところを、抜き取り検査しかしていなかったこと。しかも、まるで全数検査しているように見えるような不正プログラムまでわざわざ作った上で、です。

詳しくは下記の記事をご覧ください。

 

で、もう一つはこちら。

 

賃金が高い企業を選んで賃金が回復してるように見せてましたww問題

実はこの問題自体は去年の夏頃に西日本新聞がすっぱ抜いていて、ちょっとした騒ぎになっていました。

どういうことかと言いますと、厚労省は2018年1月以降調査対象となる企業を入れ替え、結果的に賃金が対前年比で高く出るようにしていたのです。

それまではサンプルを全数入れ替えていたのですが、一部入れ替え対前年比の「対象」が異なるわけなんで、正しい数値など出てきません。そもそも対象が違うものを比べて「対前年比」とか意味不明ですよね。

 

 

ただ、ぶっちゃけた話をすると、統計サンプルを入れ替えたこと自体はそれほど問題ではありません。問題は変えたこと自体ではなく、”こっそり変えたこと”です。何も後ろめたいことがなければ「これこれ、こういう事情で、このように統計サンプルを変えましたよ」と言えば良いのです。

ところが、実際には”こっそり変えた”。

そして、その結果、「従業員に支払われる現金給与総額の前年比増加率が大きすぎる状態が続いた」(記事引用)という訳です。

 

問題は「誰が」「何のために」指示したのか?

世間で騒がれている通り賃金統計は日本国民の生活を調査するための大事な統計の一つです。そんな統計を一人とか二人とかの少人数で画策して実現できるわけがありません。従業員が数人しかいない町工場じゃないんですから。組織的に行われていたのは間違いありません。

問題は、じゃあそのような統計操作を「誰が」「何のために」行ったのか?

 

その「誰が指示したのか?」を朝日新聞がスッパ抜きました。 

 

 なんと

2015年11月の経済財政諮問会議で閣僚らが変更を促していたことがわかった。「統計の司令塔」である統計委員会も指摘を重視し、見直し議論を翌月開始。調査手法はその後、賃金指数の下ぶれを防ぐ方向に変えられた。

というのです。 

何と閣僚自らが統計手法の変更を要請していたというのです!!

お・・・恐るべし!!

※ちなみに安倍首相は2月18日の国会で「私から何ら指示をしていない。我々が統計をいじって政策をよく見せようとしたわけでは全くない」と述べたそうです。本当かどうかはかなり怪しいですが。

 

何のための統計手法変更だったのか?

では、なぜそのような統計手法の変更を行ったのでしょうか?

実は従来のサンプルのとり方の場合、賃金が上昇傾向に補正されてしまうという問題がありました。なぜなら、それだと業績が悪化し倒産した企業が外され、競争力のあり業績の良い企業だけが残るということになってしまうからです。

ですから、当然過剰な反応が出ないようにある程度現実を元にした補正をしなければなりません。しかし、

その結果、2012年〜2015年の間の賃金が、2011年の民主党時代よりも下がっているということが判明してしまった訳です。

 

それはマズイ!!!と慌てた閣僚(麻生財政大臣、甘利経済再生担当大臣)、黒田日銀総裁が

 

「そんな結果が出るのは統計方法に誤りがあるのだ!! 変更しろ!!!」

 

と統計方法の変更を迫ったわけです。

そして、厚労省はそのような閣僚の要請のもと、2018年1月から統計方法を変更しました。そして、実際は2011年に比べて賃金指数が下がっているにも関わらず、「賃金指数は安倍政権になってから上がりました」ということになってしまっているのです。

 

安倍政権になってから有効求人倍率が上がっていることを取り上げて、景気は回復しているという人たちがいます。しかし、有効求人倍率が上がっているのは単純に生産年齢人口が少なくなっているからです。別に安倍政権の経済政策のお陰でもなんでもありません。

有効求人倍率が上がろうが何だろうが、国民の賃金が下がっている・・・つまり国民が貧困化しているのであれば何も意味がないのです。

 

それにも関わらず、アベノミクスの効果を粉飾したところで一体何になると言うのでしょうか?

私はデータは所詮データ・・・つまり数値でしかないと思います。結局その数値にどんな意味を持たせるかは、それを使う人達によるのです。そうであればこそ、その数値を使う人達には誠実さが求められます。自分たち都合の良い結果が出るような不正を行う人達に数値の管理を任せるわけにはいかないのです。

安倍首相自身がそのことを指示したかどうかはわかりません。ただ、黒田日銀総裁や麻生財務大臣、甘利経済再生担当大臣などの閣僚級の人間がこのことを知っていたのは間違いない。そのような部下たちの言動を把握できない人間に果たして一国の首相が務まるのか。甚だ疑問に思う大事件ではないかと思うのです。

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆