Dive Into The World

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EUはそろそろ「ブレグジット後」を考えるべき

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先週EUのトゥスク大統領がこのような発言をしたことが、海外メディアで物議を醸しているそうです。

その発言とは

 

「ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)をどのように安全に進めるか、実施方法を何も計画をせずに推進した人たち」には「地獄に特等席が用意されている」

 

というもの。

そりゃ・・・・炎上しますわww

やるな! トゥスク大統領! 人が言えないようなことをズバッと言い切ってしまう!

そこにシビれる! あこがれるぅぅーーー!!

 

地獄の特等席とはまたすごい表現ですが、正直EUはもはやそんなことを言っている場合ではないのではないでしょうか。

3月末のブレグジットを控えイギリスに注目が集まっていますが、今日はちょっと”その先”を考えてみたいと思います。
 

ブレグジットの意味をトゥスク大統領は理解していない

確かにこのブレグジットによってイギリスは経済的に大変な混乱に陥るかもしれない。しかし、それは最悪のシナリオではない。なぜなら5年あるいは10年程度の経済的混乱があったからと言って、それでイギリスという国がなくなる訳ではない。そこにイギリス人がいる限り、イギリスという国家は継続して存在する。EU離脱を問う国民投票において問われたのはまさにそれです。
つまり
 
A. イギリスの伝統を受け継ぐ"イギリス人の国家"として存続する道を選ぶのか
B. それともただそこに住んでいるというだけの人々が経済的利益を得るための形だけの国家の道を選ぶのか
 
一体イギリスはどちらを選ぶのか?ということです。
 そして、ブレグジットという結果が示すのは、イギリス人は前者の"イギリスの伝統と精神"を受け継いだイギリス人として生きる道を選んだということです。
 
そのような自分たちの道は自分たちで切り開くことをイギリス人に「地獄を見ろ」などという捨て台詞を吐き捨てたところで何の意味もありません。そもそも経済的メリットとデメリットを比較考量して決めた訳ではないのですから、的外れもいいところです。
そんなことよりもEUは"ブレグジット後"の自分たちの心配をした方が良いでしょう。
 

ブレグジットの混乱は何だかんだ言ってすぐに収まる

というのは、イギリスのEU離脱投票以来、欧州情勢に関する国際社会の目は「ブレグジットが引き起こす影響」に集まって来ました。それはEU諸国内においても同じです。それはある意味、良きにつけ悪しきにつけ「イギリスのことを論じていれば、EUのことを論じている」ことになっていました。言い方は悪いかもしれませんが、イギリスがEU内に滞留する不満(ドイツ独り勝ち状態、大企業優先の政策、経済格差の拡大、移民問題など)の"はけ口"になってきたわけです。
ところが、イギリスがEUを離脱すればそのはけ口がいよいよ失くなります。
もちろん、しばらくは混乱が続くでしょうが、2〜3年かかるかもしれません。しかし、それも時間とともに落ち着くでしょう。
そもそも今のイギリスの問題はブレグジット後にどのような混乱が起こるのか予想がつかないことです。予想がつかないから不安になるし、憶測も飛び交い、混乱する。しかし、問題というのはそれが顕在化してしまえすれば、あとはそれに対して現実的に可能な対応策を考え、検討し実行するのみです。問題とは形が見えてしまいさえすれば、大部分が片付いたも同然なのです。それだけの底力と伝統がイギリスにはあるのです。
まぁ、アジアの片隅に2000年以上の歴史がありなが、デフレという顕在化した問題を20年以上も放置し続けている国がありますが…。どことは言いませんけどね・・・。 ブレグジット後にEUを襲う悪夢さて、ではそのブレグジットにEUを襲う悪夢とは何か。それこそイギリスのEU離脱が示した国民主権の問題です。EUとは加盟国から主権を取り上げ、欧州議会とブリュッセルにいる官僚たちが決めたグローバルなルールに諸国が従うというシステムです。その主権とは政治的な意味でも、経済的な意味でも、です。 それがうまく機能している間は多少の不満があっても、「まぁ、多少不便があるけど、深刻な問題というほどてはないから良いか…」と表面化することはありませんでした。しかし、リーマンショックからの経済危機、大量の移民問題によってそんな悠長なことを言っていられる状況ではなくなった。イギリスのEU離脱はまさにその象徴だったのです。 その「主権を奪われたことによる不満」はイギリスというはけ口がなくなれば、別のはけ口を求めてさまようことになります。今後は政治的そして経済的な主権の回復を求めて欧州で様々な事象が発生するでしょう。っていうか、すでに発生してますね(笑)。フランスの黄色いベスト運動とか。そのような活動を押さえつける、あるいはコントロールする力のある国が、イギリスが抜けた今、どこにあるでしょうか?以前であればドイツの強力な発言権で何とか収めることができたかもしれませんが、今ではドイツの国内自体がそのような不満が鬱積している状況。当然フランスにもそんな力は残されていません。かつてウィーン体制でビスマルクが果たしたような”各国の調整役”を担える国家はもはやEUには存在しないのです。 ブレグジット後の混乱から日本を守る壁はすでに取り払われたイギリスがはけ口になっている現在はまだ良い。ですが、イギリスが抜けた後、その時こそ今まで表面化しなかったEUの抱える問題が次々と噴出し始めることは間違いないでしょう。そのような欧州と日欧EPAという自由貿易協定を結んだ我が国。日欧EPAの問題点についてはこちらの投稿でも書きましたが、「ワインが安くなった!チーズが安くなった!」とかそんなことで有難がっている場合ではないのです。
国家間の貿易が自由だということは、何か事が起こった時に”日本を守る壁もない”ということ。壁がないということは良い影響も、悪い影響もどちらも易々と日本に訪れるということです。 
「自由」という言葉と引き換えに日本が失った代償はあまりにも大きい・・・・そんな事態にならないことを、今はただ祈るのみです。 今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆