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安全な水が飲めなくなる日。水を金で売る水道民営化

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よく日本では「水と安全はタダ」と言われます。

日本では当たり前のように水道の蛇口をひねれば水が出てきます。そして、その水を飲むことができます。当たり前のようですが、これって全然当たり前じゃないんですよ。

海外に行くと分かりますが、たとえヨーロッパやアメリカのような先進国に行ったとしても、水道水を飲めるなんてことは滅多にありません。

 

国土交通省の調査によりますと、水道水をそのまま飲める国は世界に13カ国しかないのです。驚きですね。

当然その13カ国にはアメリカは含まれていません。

ヨーロッパでもフィンランドアイスランドアイルランド、ドイツ、オーストリア
クロアチアスロベニアのみ。フランスやイタリア、イギリスなどでも水道水は飲めないのです。

 

ちなみに、日本では水道水やミネラルウォーターはマグネシウムやカルシウムが少ない「軟水」がほとんどですが、海外ではそれらが多い「硬水」がほとんどです。軟水と硬水は味や口当たりも違います。肌に合う/合わないもありますので、肌が弱い方だと海外の硬水で顔を洗っていると肌が荒れる方もいらっしゃるようです。

 

さて、そんな私達の生活に欠かせない水。

水道水を飲めるという国がこれだけ少ないことからも、日本がどれだけ恵まれていることかはお分かり頂けるかと思いますが、この日本の水道水の品質を悪化させかねない法案が昨年可決されたことはご存知でしょうか?

 

それが水道事業を民営化しやすくする改正法案です。

 

水道事業を民営化しやすくする法律

この「民営化しやすくする」というのがややこしい言い回しですね(笑)。

先日の日曜日にたまたまテレビをつけたら映っていた「ビートたけしのTVタックル」で、この水道事業民営化法案の話題を取り上げていたのですが、そこでも賛成派の方が「これは民営化ではない。官民連携なんです。」とかいう言葉遊びをしていました。

 

官民連携・・・次から次へと本当によく言葉を考え出すなぁと感心しますわ(笑)。

で、これは何かというと「コンセッション方式」という半官半民の運営方法のことです。

 

コンセッション方式というのは「自治体が公共施設や設備の所有権を持ったまま運営権を長期間、民間に売却できる制度」のことです。

つまり、皆さんのご家庭に水を届ける水道設備の最終責任は自治体が持ったまま、運営だけ・・・・つまり「水道料金」という売上だけ民間企業が頂戴することができるというシステムです。

 

「は?」ですよね。

はい、その通り。

「は? なんで?」ですよ。

 

水道に関する全責任を背負った民間企業が運営するなら、”まだ”話は分かります。でもそうじゃないんです。”責任は自治体が背負ったまま”で運営利益だけ民間企業だけ持っていく・・・・そんな馬鹿な??と思いますよね。それが普通です(笑)。

 

もちろん運営に掛かる費用は民間企業が持ちますので、水道料金を根こそぎ利益として持っていく訳ではりません。またその権利を取得できる訳ではありませんので、取得のためにそれなりの金額が必要になります。

 

そもそも水道事業に民間企業を入れる理由はない。

この半官半民の運営方式の問題点はまた後で書くとして、そもそものこの話がおかしいのは

「水」という国民の生命を左右する資源の安全性を確保するのは、国の責任であり民間が口を挟むことではない

ということです。

 

民営化をしやすいようにする・・・もう面倒臭いので「民営化」と書いてしまいますが(笑)、その水道事業民営化の目的は施設の老朽化や人口減少で、経営困難になった水道事業の基盤強化を進めるということになっています。

ざっくばらんに言えば「水道を管理するお金がない自治体が増えてきたから」ってことですね。

 

ただ、先程も書いたように「水の安全管理」は運営の都合上、各自治体が行うのは仕方がないとしても、その最終的な責任は国家が持って行うべきです。当たり前です。

「東京はお金があるから安全な水が飲めるようにするけど、○○県はお金ないから川水でも啜ってろ」などということが許されるでしょうか?

「水道管や浄水場などの施設が老朽化している。」「人口が減って税収が足りない。」というのであれば、単に政府が建設国債でお金を調達して更新、管理していけばそれで済む話です。そのために建設国債というものが存在するのですから。

 

こういうお金の話になると「日本は財政難だから・・・」という話が出てきますが、そもそも日本に財政問題は存在しません。例えば下記の記事でも書きましたが、「日本の借金1,000兆円」とやらの半分以上の553兆円は、日本政府の子会社である日銀からのものですので返済する必要はありません。

むしろ今の日本はお金があってもそれを使う場所がなくて困っているのです。無駄な投資先であったとしても、投資しないより100倍マシ。それが今の日本です。

それが日本国民のためになる水道事業であれば、お金を使うことをためらう理由がどこにあるのでしょうか?

 

 

問題が起こった時にツケを払うのは国民

また、最初に書きましたようにコンセッション方式では、自治体が公共施設や設備の所有権を持ったまま運営権を民間が担います。たとえば自然災害のトラブルなどがあった時に、最終的に責任を取る(水道管、水道施設の復旧、給水活動など)のは国や自治体です。民間企業は運営をするだけですので、そのような活動に関して一切責任を取りません。そんな事してたら民間企業は倒産します。

 

実際、昨年台風20号が大阪の関西国際空港を襲った時、そのようなことが起こりました。陸の孤島になった関空の衝撃的な映像は記憶に新しいところですが、この関空も同じくコンセッション方式を採用した運営でした。

関空エアポートという民間企業は運営権は保持しているものの、土地や建物は関空エアポートが保有している訳ではありませんでした。関空エアポートの代表は当時インタビューに答えて

 

海上空港として高潮、津波が大きなリスクと認識していたが、(関西エアは)空港をいちから設計するのではなく、民間の力で活性化するのが本分」

 

と述べたそうです。

つまり

関空に高潮、津波という大きなリスクがあることは分かっていたが、それを解決するのは自分たちの責任ではないから放っておいた。自分たちはただそれを活用するだけです。だって、それが民間活力の活用でしょ?」

という訳です。

 

「問題があれば再び公営化すれば良い」も間違い。

ちなみに、そのような問題が起こったとして、もう一度公営化するとしましょう。

実際「一度民間に任せて何かあれば公営に戻せば良い」と言っている人もいるようですが、事はそれほど簡単ではありません。

コンセッション方式では最長15年間、民間事業者は水道事業の運営権を取得できます。もし、その間に自然災害が発生し公営化しようとすれば、その契約を破棄することになります。当然、違約金が発生します。

 

ではその違約金を誰が払うのでしょうか?

地元の住民であり、私達国民です。

 

いかがでしょうか?

ここまで聞いて、それでも民営化するべし! などと言えるでしょうか?

 

民営化を推進しようとする人たちには「これは民営化ではない。コンセッション方式であり、選択権は自治体にあるのだ。問題があると思うならコンセッション方式を採用しなければ良いだけじゃないか。」などと言う人がいます。

しかし、それも残念ながら誤りです。

なぜなら運営権を売却するに当たっては、地方議会の議決を必要としないからです。自治体の行政が議会にはかることなく、勝手に売却できてしまうのですからそこに住民の意思は反映されません。

 

民営化による”利益”というメリットは民間企業に。

そして水の安全管理、安定供給が阻害されるというデメリットは国民に。

法案はすでに可決されてしまいました。しかし、法は法で覆すことが可能です。

水道事業を民営化してはならないという”空気”によって、まだ水の安全を守ることができます。そのためには一人でも多くの人が民営化の欺瞞を知ることが不可欠なのです。

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆