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パリ暴動。フランス革命の貴族の恨みがパリを焼く

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しばらく前の投稿でも取り上げましたように、フランス全土・・・特にパリで反政権デモ「黄色いベスト運動」が展開されています。

毎週末に行われ11週連続になるそうですが、その辺りの律儀さ(?)がちょっと面白いなと思ったりしないでもないです(笑)。

さて、そもそもこの暴動が「黄色いベスト運動」と呼ばれるのは、参加者が道路工事で作業する際などに使用する黄色い安全ベストを着用していることが由来です。昔中国で「黄巾の乱」という、それこそ「反政権暴動」が起こったのですが、それを彷彿とさせますね。色も一緒だし。

 

・・・と思っていたら、今度は「赤いスカーフ運動」というやつがパリで展開されたようです(笑)。いや、冗談じゃないですよ? まじですww

これは「反政権を掲げる"黄色いベスト運動"に反発する人による運動」だそうです。

裏の裏は表。

敵の敵は味方

何かそんな感じですね。ややこしい・・・。

 

そしてこの運動がなぜ「赤いスカーフ運動」と呼ばれるかと言うと、彼らが「赤いスカーフ」を身に着けて行進しているからだそうです。

あれですかね。ベストは工事衣装みたいで格好悪い。スカーフの方が格好良い! みたいな感じですかね。知らんけどww

 

記事によりますと 

パリの観光名所バスチーユ広場に、赤いスカーフを巻いた参加者らが集まった。赤はフランスで「博愛」を意味する。多くの人が「議論はいいが混乱は許さない」などと書いた旗を持って行進した。国歌ラ・マルセイエーズを歌う人もみられた。

 ということなんですが・・・実は私、この記事を読んだ時に「歴史って面白いなぁ」と思ってしまいました。もちろん「笑える面白さ」ではなく、「興味深い」という意味です。

 

フランス国歌の歌詞を知ってますか?

上記の記事で、この赤いスカーフ運動の方々はフランス国家「ラ・マルセイエーズ」を歌っていたそうです。皆さん、この国歌の歌詞ってご存知でしょうか?

 

「進め 祖国の子らよ! 栄光の日が来たのだ!
我らを虐げし暴君の血まみれの旗が掲げられた。
聞こえるか 戦場の残忍な敵兵の咆哮を?
奴らは汝らの子と妻の 喉を搔き切るために我々の元へやってきているのだ!

武器を取れ、市民たちよ。自らの軍を組織せよ。

いざ行かん、いざ行かん!

奴らの汚れた血を我らの田畑に飲ませてやるために!」

 

改めて見ても凄い歌詞ですね・・・。

元々これはフランス革命の時にマルセイユという街からパリに駆けつけた軍隊が歌っていたことから有名になった歌です。「ラ・マルセイエーズ」というのも元々は「マルセイユ軍隊の歌」という意味だったのですから、まぁ勇ましくて当たり前かもしれません。

それにしてもこんな歌詞を歌いながら、自分たちは「故意に暴力行為を起こす人々を"断固として非難する"」などと言っているのですから、正直よく分からないですね(笑)。

 

スカーフの"赤"は博愛を意味するというが・・・ 

 そしてもう一つ興味深いこと。

それは赤いスカーフ運動の人たちが身につけているスカーフですが、これがなぜ赤かというと、フランスでは赤は博愛あるいは友愛を意味する色だからだそうです。フランス国旗と言えば「赤、白、青」のトリコロールカラーですが、この赤も一説によればこの博愛/友愛を意味しているようです。

 

ただ、この博愛や友愛というのは日本語での意味合いとはかなり違います。

フランス語では「Franternite」なのですが、これはどちらかというと「同胞愛」の意味です。"汝の敵を愛せよ"的な博愛主義とは意味合いが違うのです。したがって、この博愛/友愛はフランス革命の理念である「自由、平等、博愛」が元になっていますが、日本語の意味とはだいぶニュアンスが違います。

正確には「自由、平等、同胞愛、さもなくば死を。」です。

 

実際 「フランス革命辞典」の著者であるモナ・オズーフは、このフランスの博愛あるいは友愛というのは、

 

「同一化を迫る友愛である。人々を結びつけようとするのではなく、他者を同一のものに還元することに固執し、一種の融合状態を作り出そうとする」

 

と記しています。

 

フランス革命を彷彿とさせるパリの混乱

これら2つ、つまり「ラ・マルセイエーズ」と「同胞愛を意味する赤いスカーフ」ということからイメージされるのは、正にこれらの元ネタとも言えるフランス革命です。

さらに言うならば、これら2つを携えた人々がフランス革命の発端となった"バスティーユ広場”に集まったというところが何とも皮肉な歴史のめぐり合わせとしか言いようがありません。

 

ただ、現在の混乱とフランス革命の混乱で一つだけ違うことがあります。

それは訴える側と訴えられる側の立場が逆転していることです。

 

フランス革命の時に「ラ・マルセイエーズ」「同胞愛」「バスティーユ広場」を携えた集団は、王侯貴族に税金を搾り取られ、生活を苦しめられた結果反発した市民の側でした。

しかし、現在では苦しい生活を強いられている市民から奪い取った利益によって得をしている経済的勝者の側・・・・いわば昔は貴族側だった人間達が、今度は「ラ・マルセイエーズ」「同胞愛」「バスティーユ広場」を携えて市民を訴えている。

 

そうだとすれば、もしかしたら今のパリの空を焦がす炎は、200年以上前に革命によって駆逐された貴族の恨みが現代に蘇ったものなのかもしれない・・・そんなことを考えてしまいました。

 

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆