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竹中平蔵を批判した学生は構造改革という自己満足の犠牲者だ

今日は本当は別の記事を書こうと思っていたのですが、このニュースを見て気が変わりました。

 

構造改革&規制緩和と言えば竹中平蔵

竹中平蔵と言えば構造改革&規制緩和

と言って良いほど、小泉政権時代そしてそれに連なる現在の安倍政権において、「構造改革派」の急先鋒として有名な人物ですね。日本一有名な経済学者と言っても過言ではないでしょう。

 

その竹中氏が現在東洋大学で教鞭をとっているようなのですが、その本拠地東洋大学の学生が大学の中で"反竹中"というよりも、「竹中平蔵こそが今の日本の労働者の環境悪化の根本原因である」という趣旨のビラ配りを行い、大問題になっているようです。

 正直言って私も竹中平蔵氏が現在の日本の経済低迷を生み出し・・・というか、意図的に促進した張本人だと考えているので、この学生の主張には基本的に同意します。しかし、その一方で竹中平蔵という個人を糾弾しても現在の状況を変えることはできないとも思っています(無駄、という訳ではありません)。

 

問題の根本は竹中平蔵個人ではない。

 私は基本的に

「一人の人間の力でどうこうできる程、世の中は軽いものじゃない」

と考えています。

 

確かに小泉政権の下で竹中氏が主導した規制改革、構造改革によって現状の日本経済の低迷が促進されたことは疑いがありません。しかし、彼にそのような権限を与えたのは小泉元首相であり、その小泉も民主主義的な選挙によって選ばれた訳です。

そして、選挙で選ばれる国会議員である以上、小泉氏も国民の意思と全く反するような政策をとることはできません。なぜなら、次の選挙で落とされるからです。あるいは、小泉氏本人はまだしも多くの自民党議員が落選します。

 

すなわち、竹中平蔵や小泉が行った規制緩和構造改革とは、全国民とは言わないまでも多くの国民が肯定した結果行われたものだったのです。

 

規制緩和構造改革を望んだのは国民だった

今の若者は知らないかもしれませんが、当時バブルが弾け、1997年の消費税増税により日本がデフレ不況に突っ込み始めた頃、世間では「公共事業憎し」「公務員憎し」のキャンペーンがものすごかったのです。

毎日毎日、どのテレビもどの新聞も、「公共事業にはこんなに無駄がある」「カネのバラマキ」「公務員はぬるま湯に浸かって高い給料を貰っている」とか、メディアを揚げての「国家ネガティヴ・キャンペーン」が行われていました。

それにうまいこと乗せられた国民が、「国家にやらせると金の無駄使いばかり。構造改革して民間にやらせろ!」の大合唱だったのです。

竹中-小泉、そして安倍政権はそれに乗っかって規制緩和構造改革を推し進めました。

 

その結果どうなりましたか?

国民の生活は楽になりましたでしょうか?

全く、ですね。

 

規制緩和構造改革はデフレ促進案である

安倍政権は「デフレ脱却」を旗印に立ち上げられましたが、デフレ脱却の目安となる物価上昇率2%を全く実現できておらず、もはやとっくに忘れ去られた感すらあります。

それどころか実質賃金は停滞。派遣社員の適用範囲拡大で雇用は不安定化。GDPは先進国で唯一横ばい。富裕層と貧困層の格差はますます広がり、社会はどんどん不安定化していく一方です。

 

なぜこんなことになったのでしょうか?

簡単です。

国民が諸手を挙げて賛成した「規制緩和」「構造改革」が間違っていたからです。

 

もともと日本がデフレ不況になったのは、バブルが弾けたことが発端です。

バブルの時は土地とか建物とかさまざまな物の価格が上がるのが当たり前でしたので、みんな借金をして色んなものを買い漁っていました。結婚式でも借金をして豪勢な式を挙げたり、ゴルフ会員権とかをゴルフもやらない人が数千万円で買ったりしていたのです。借金をしてまで。

それがバブルが弾けた途端、その価値がなくなる訳ですが、「借金の金額」自体は減額されずに残ります。当たり前ですが、バブルが弾けたからって銀行が「一億円貸していたけど、100万円しか返さなくて良いですよ」とはならないのです。

 

だから、みんな必死になって借金返済に走りました。

そして民間企業では借金返済のために、社員をクビにしたり、土地を売ったりしてお金を工面するのに必死になりました。誰もが無駄遣いを蛇蝎のごとく嫌うようになったのです。

 

しかし、残念ながら経済というのは誰かがお金を回さなくてはいけません。誰かがお金を使わない限りみんなの所にお金は届かないのです。しかし、国民は借金返済に精一杯でそんな余裕はない。じゃあ、誰がお金を使うの?

国家が使うしかありません。

国家がお金を使って、お金を世間に回すしか手はないのです。

それが本来、バブル崩壊 > デフレ不況に陥った国がやるべき方策でした。ところが日本は全く逆の規制緩和構造改革をやった。

 

これらは郵政民営化に代表されるように「国家がやるべき事業」を民営化し、規制を緩和することで競争を促進することで「値段を安くする」ための方策です。つまり、"お金を使わなくするための政策"なのです。

冷静に考えれば当たり前なのですが、みんながお金を使わないデフレ不況のなかで、さらにお金を使わなくなる規制緩和構造改革をやったら、どうなりますか? デフレが深刻化するに決まっています。誰でも分かります。

でも、当時はみんなそこまで考えなかったのです。

 

ただ、「自分たちが苦しんでいるのに、お金を湯水のように使っているやつらがいる」という恨みつらみにとらわれて、憂さ晴らしのために規制緩和構造改革を支持した。その結果が回り回って自分たちのクビを締めることすら考えずに。

 

竹中平蔵はその中でうまいこと私腹を肥やしたに過ぎません。そしてそれは今も続いています。

そのことは厳しく糾弾されるべきですが、竹中平蔵一人を切り捨てたところで世の中は変わりません。世の中を変えるためにはまず自分自身が変わらなくてはならない。シンプルだけど難しいことを、今回の東洋大学の学生はやってのけたという点において、私は彼に敬意を表したいと思うのです。 

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆