Dive Into The World

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イギリスのEU離脱は、いつどこで道を間違えたか?

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うーん、なんか軽口を叩くのがいけないことのように思えてくるほどイギリスの情勢が混迷していますね…。
ぶっちゃけメイ首相は、EU離脱を決めた国民投票の時は残留派だった訳です。それがなんの因果か離脱交渉をしなければならない立場として首相に就任しました。
私が同じ立場だったらこう思うでしょう。

 

「だから、あたしゃ反対したんだよ!! (ちびまる子ちゃん風)」

 

と(笑)。

いや、本当に笑い事じゃないんでしょうが・・・。

その心中は察するに忍びないですが、ただ国民投票で決まり、現在首相の座にある以上その務めを全うするしかありません。 

 

今後のEU離脱はどうなるのか?

この結果を受けてもういろんな新聞社や週刊誌のサイトは大騒ぎです。合意なき離脱が現実になるとか、もう一度国民投票をするべきだとか、などなど。

ぶっちゃけて私の意見を言わせて頂きますと…

 

分かりません!ww

分かる訳ないでしょww まじでww

ってか、こんなのどうなるかなんて予測できる人なんていませんよ(笑)

 

って言うのが正直なところです。ごめんなさい🙇‍♀️

確かにいくつかのシナリオを描くことは可能です。しかし、今の時点でブレグジットの結末がどうなるのかを言い当てられる人はいないと思います。

 

ただ、重要なことは今後のブレグジットの推移を予測することではありません。

では、何が重要なのか?

 

2度目の国民投票は禁じ手である。

今回の否決を受けてロンドンでは"市民団体"とやらが国民投票をもう一度やり直せとか言っているようですが、これは絶対にやってはなりません。

なぜなら、民主的な手法に基づいて行われた国民投票を、EUや経済界からの圧力で再度やり直したとなれば、それは完全に民主主義の否定になります。そして、EUだけでなく様々な貿易協定や国際的な共同体において

 

「一部の国民が騒いだとしても、"取引"という名の圧力をかければ弾圧できる」

 

ということになってしまうからです。

それは世界の将来にとって大きな禍根を残すことになるでしょう。

(誰が言ったのか忘れましたが(笑))

「政治にAgain (もう一度)はない」

のです。 

 

 

自由貿易協定は一旦ハマれば抜け出せない

そして、もう一つ重要なこと。

それは今回のブレグジットの混乱が示すように「自由貿易に基づく国際協定は一度ハマったら簡単には抜け出られない」ということです。

 

人種的にも、宗教的にも、そして民主主義という価値観においても比較的近い考え方を共有する欧州でさえ、グローバリズムに基づく統合は不可能だということが、ギリシャの経済危機、移民問題、そして今回のブレグジットという一連の騒動によって図らずも証明されました。

そして、そこから抜け出ようとすれば、これほど世界を巻き込むほどの大混乱を招くということをイギリスは実体験を持って世界に示したのです。しかも、共通通貨ユーロを採用していないイギリスでさえこの有様なのです。

ユーロを採用し、なおかつイギリスよりも経済規模が小さく政治的にも不安定な南欧諸国などが離脱を試みたら一体どうなるのでしょうか?

 

これは日本にも同じことが言えます。

日本は既に「TPP11」「日欧FTA」とやらの自由貿易協定に参加してしまいました。

自由貿易協定というのは基本的に加盟国間の障壁を取り去ろうとするものです。今はその良いところばかりに注目が行っていますが、障壁がなくなるということは「危機が起こった時に防衛してくれる壁がなくなる」ということを意味するのです。リーマンショックとそれに続くEUの経済危機が示したように、障壁がなくなることでどこかで起こった経済危機があっという間に自国を襲うのです。

その上、今回のブレグジットの混乱が示すように「一旦その協定に参加すれば抜け出すことには相当な経済的、政治的リスクが伴う」のです。

 

 イギリスはエドマンド・バークの言葉を今こそ思い出すべき

かつてイギリスにはエドマンド・バークという保守の論客がいました。彼はフランス革命が起こった時、その全容が判明する前からフランス革命を批判した人物です。

彼はその主著「フランス革命の省察」の中でこう言っています。

 

「国家を構築したり、そのシステムを刷新・改革したりうる技術は、いわば実験科学であり”理論上はうまくいくはずだから大丈夫”という類のものではない。現場の経験をちょっと積んだくらいでもダメである。

(中略)

政治の技術とは、かように理屈ではどうにもならぬものであり、しかも国の存立と反映に関わっている以上、経験はいくらあっても足りない。もっとも懸命で鋭敏な人物が、生涯にわたって経験を積んだとしても足りないのである。

だとすれば、長年にわたって機能してきた社会システムを廃止するとか、うまくいく保証のない新しいシステムを導入・構築するとかいう場合は”石橋を叩いて渡らない”を信条としなければならない

 

エドマンド・バークを生んだイギリスは、このバークの言葉にも関わらず目先の利益に目がくらんで、EUという新しいシステムにいそいそと乗り込んでしまいました。

その結論が現在の惨状という訳です。

 

先程も書きましたが政治にAgain(もう一度)はありません。巻き戻しはきかないのです。

だからこそEUに加盟する前に「”石橋を叩いて渡らない”を信条としなければならない」というバークの言葉をイギリスは再度思い起こさなければならなかったのです。

 

つまり、タイトルに書いた「イギリスのEU離脱は、いつどこで間違えたのか?」と聞かれれば、それは加盟を決断した時に既に間違えていたのです。

 

ただ、ひとつだけイギリスが抜け目ないなと感心するところがあります。それはEUという貿易協定には参加したもののユーロを採用しなかったことです。

第二次世界大戦まではイギリスのポンドが世界の基軸通貨の役割を担っていました。戦後はその地位をアメリカに引き渡してしまいましたが、おそらくイギリスは過去の経験から万が一の時を考え、自国通貨を手放してならないことは理解していたのだと思います。だから、EUに加盟してもそこだけは死守した。

その点だけは、流石に17世紀以来、世界に表と裏から影響力を及ぼしてきた大国の凄みと言えるでしょう。


今回も長文を最後までお読みいただきありがとうございます😊