Dive Into The World

話題のニュースがどんな意味を持つのかを分かりやすく解説。普通の人たちと専門家をつなげるようなブログを目指します。

なぜEUはイギリス離脱を止められない理由を説明しよう

ご存知の通り今年の3月29日にイギリスがEUから離脱します。

現在そのためのEUとイギリスの交渉の真っ最中なのですが、いまだにイギリスの離脱を思い留まらせようとする「イギリスのEU離脱ネガティブキャンペーン」が各国で行われているようです。

そんな中でちょっと笑ったのが、こんなキャンペーンが行われていることです(笑)。

 

 

 

「英国よ、どうか行かないで」とまるで恋人に訴えかけるような切ない気持ちを歌い上げるボーイバンドがお隣の国オランダに登場した。その名も「Breunion Boys」(ブリユニオン・ボーイズ)だ。「英国と連合する」という名前が示すとおり、このままEUに残って欲しい、それだけを伝えるために結成されたグループだ。 

 

いや、もう凄いですねww

ここまで来るともう逆に笑わせようとしているとしか思えませんww

 

まぁ、正直これがどこまで本気なのかはさておき、イギリスの離脱はもう止められません(交渉がまとまらずに延期になる可能性はゼロではないですが)。

なぜでしょうか?

 

「イギリス人のことはイギリス人が決めたい」それが離脱理由

そもそもイギリスがEU離脱を決めた最大の動機は、国民投票の際の出口調査でも明らかなように「主権の回復」でした。つまり「自分たちのことは自分たちで決める」という権利を回復することです。

ちょっと下品な例になってしまうので、女性の方が読まれていたら恐縮なのですが(笑)、イギリスのEU離脱派の政治家でボリス・ジョンソンという人物がいます。彼がEUを批判する時に言っていたのは

 

EUになんか留まっていると、ブリュッセル(ベルギーの首都でEUの本部がある)の官僚たちにコンドームのサイズまで決められてしまうぞ!」

 

ということでした。

彼なりのユーモアを込めての批判なんでしょうが、でもこれが全く事実無根ではありません。コンドームのサイズはさておき、バナナとかきゅうりとかの食物が市場に出回る時のサイズとかまで、EUでは細かく法律で決められています。

きゅうりが何度以上曲がっていたら駄目、とかね。

 

冗談かと思われるでしょうが、これは本当で、「ヒト、モノ、カネの移動の自由化」を進める"単一の市場"においては、加盟する各国が勝手なルールを作られては困るのです。加盟する全ての国が画一的なルールに従って競争しなければ、ヒトやモノやお金が自由に移動できなくなってしまうからです。

だからこそ、その共通ルールをブリュッセルの本部にいる官僚が勝手に決めてしまうのです。そして、EUで決められたルールは「国際条約」ですから、一旦決まってしまえば加盟国はそれに従うしかありません。

 

つまり、イギリスはEU離脱を決めるまで「自分たちのことは自分たちで決める」という主権が奪われた状態だったのです。もちろんそれは他の国も同じなのですが、イギリスは何と言っても1688年の名誉革命によって「議会制」という政治制度を発明した国であり、「議会で国の方針を決める」というのはイギリス人にとって格別の誇りな訳です。

そんなイギリスにとっては、主権を奪われた状態でEUにとどまり続けるということは実に鼻持ちならない状況に違いありません。

 

貿易の枠組みはEUだけじゃない

また、経済的な側面で見ても、イギリスにとってEU諸国は単なる貿易相手国(地域)の一つでしかありません。その一方EU諸国にとってイギリスは市場規模としては大事な輸出相手国です。

それに勘違いしてはいけないのですが、

EUから離脱したからと言って、その貿易自体がなくなる訳ではありません。新たに貿易の規定を結び直せば良いだけの話です。

もちろん、問題はその貿易規定の策定があまりにも膨大過ぎるということなのですが・・・。

 

それよりもイギリスにとっては「自分たちの主権を回復する」ということの方を重視している訳ですから、どれだけ「EUから離脱したら、これだけ経済的なデメリットがあるぞ〜〜!! (ただし"予測"にしか過ぎない)」と脅したところで無駄です。

イギリスの国民投票が示したのは「主権の回復と経済はトレードオフの関係ではない」という意思だったのですから。

 

もう離脱が止められないのはみんな分かってる

それにしても面白いのは、イギリスのEU離脱を止める人たちってみんな経済的デメリットがどれだけ凄いかを「これでもか! これでもか! これでも離脱するってんのか〜〜〜!!!」とばかりに離脱することが"とんでもないこと”になると主張するだけで、

EUに留まり続ければ、こんなに良いことがあるんですよ!!」という主張をしないんですよね。

おかしくないですか?

本当に心からEUが素晴らしいと思っているのだったら、イギリスが留まっておきたい! と思えるようなメリットを主張すれば良いじゃないですか。なのに、何でそれをしないの???

 

実はみんな分かってるんだと思うのですよ。

もうEUという壮大な実験は失敗したってことが。

イギリスが抜けたら雪崩をうって崩壊するってことが。

それが分かってるからこそなりふり構わずイギリスを引き留めようとする。

とにかく「デメリットを主張しまくる」のパワープレイしかできない離脱阻止派の行動を見ると、私にはそうとしか思えないのです。

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございます😊