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オーケストラがドラッカーの組織論を勉強したらどうなるか

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さて、皆さん。
くれぐれも言っておきますが、どこかで聞いたことがあるタイトルだなとか思わないでくださいね! 私のオリジナルですから!! (笑)
 
という訳で???
今回はこの本
 
山岸淳子著「ドラッカーのオーケストラの組織論」
 
の読書レビューをお届けします。
 
ドラッカーとオーケストラという珍しい組み合わせの言葉に物の見事に引っかかってしまいました(笑)。
いや、まぁ一応音楽業界に身を置く者としては一応ね。仕事の一環であるし、一応ね(「一応」が多過ぎだわ)。
ただ、ジャケ買いならぬタイトル買いした割には、なかなか良い本でしたのでご紹介しようかと思います。
 
 
さて、ドラッカーとは言わずもがなマネジメントの父と名高いピーター・ドラッカー。ぶっちゃけ私はいわゆる「ビジネス書」然としたものはあまり読みませんので、ドラッカー氏の本も実は読んだことがありません。私がドラッカー氏のことで知っているのは、この方がマネジメント論というか組織をいかに動かすべきかという組織論において世界的に有名であるという程度です。
 
その方とオーケストラというのが何とも意外な組み合わせだったのですが、なんとドラッカー氏はオーストリアのウィーン出身なんですね。そう、ウィーンと言えば、かの有名なウィーン・フィルハーモニー・オーケストラがあるところ。音楽の都として名高いあのウィーンです!俄然オーケストラ感(?)が出てきましたね!(笑)。
 

ドラッカーはオーケストラに「未来の組織の姿」を見た

本書によると、そもそもドラッカーが組織に注目したのは、それが「人」の集団である組織だからとのこと。そしてオーケストラは人の知識や技術が結集した、高度にマネジメント化された組織。「人の集団としての組織論」、そこにドラッカーとオーケストラを結びつけるものがあるというのは面白い切り口ではないでしょうか。

というかそもそも筆者によると、オーケストラこそが未来のあるべき組織モデルとなる可能性があるし、そうあるべきだとドラッカーは考えていたようです。
 
ドラッカーは未来の理想的な組織とは「情報化組織」であると考えていました。
情報化組織とは従来のトップダウン方式によるマネジメントではなく、組織において情報が共有され、その情報に基づいて組織の構成員である専門家集団が自律的に目的や方向性を考え出し、それにも基づいて行動する組織。ま、平たく言えば、漫画ハンターハンターの幻影旅団みたいな物ですね。団長は目的と方針を決めるんだけど、後はそれぞれのメンバーが独自に動いていく、みたいな(余計分かりにくいか(笑))。
 
ただ、この場合に組織が基盤にする情報とは単なるデータではありません。データの分析と判断によって意味と目的が付加されたもの。それが情報であるとドラッカー(を引用して著者)は言います。
意味と目的が付加された“情報”がメンバー間で共有されるために重要なのは、情報を伝達し共有するためのルール作り。そして、これまたそれをオーケストラに置き換えると、それは「楽譜」である、と。
確かに音楽においては、楽譜という簡潔で分かりやすいルールに基づいて情報の伝達が伝達されることで、情報がメンバー間で共有されます。そして、オーケストラにおいて優れた音楽家がその楽譜から作曲者の意図を汲み取り的確に表現するように、組織における構成員も、その情報の中から自分の行動指針を導き出しそれを具現化しなければならない。
 

オーケストラのような「情報化組織」において必要とされる力とは?

そのような情報化組織においては、具体的な行動に翻訳できる明確で単純な共通の目的が存在しなくてはならないし、その指針を出せる強力なリーダーシップをもった人物が必要となります。
そして、そのリーダーシップを持った人間というのは、オーケストラにおける指揮者に当たります。
また、オーケストラの指揮者がそれぞれの楽器の演奏方法が分からなくても、演奏者の知識と技術をいかにして引き出すかを知っている必要があるように、組織におけるリーダーに求められるのは個別の構成員の技術と知識をいかにして引き出すかを知っておく必要がある。
 
また構成員の方も、自分に与えられた役割が全体の中でどのように機能するルールかを知らなければ、全体の成果に貢献することはできない。すなわち、全体が目指す方向性とともに、他人の演奏つまり他者からの情報に丁寧に耳を傾けて、自分の発する情報も丁寧に伝えることでコミュニケーションをとるという能力が必要になるのです。
構成員がそのようなコミュニケーション能力があり、リーダーも彼らの能力を引き出す術を熟知している。その組み合わせによって、リーダーが具体的な目的な方針を出すことで組織全体が自律的に動く新しい形の組織へと生まれ変わっていく。
それは正にオーケストラという組織そのものであり、これからの時代の組織に求められるのはそのような形態であるとドラッカーは述べているのです。
 

組織がオーケストラのような「情報化組織」と成長するために必要なもの

どうでしょうか?
なかなか面白い考察だと思います。
私は上に書いた通り、ドラッカーの本を実際に読んだことはありませんので、これのどこまでがドラッカーが実際に言っていることで、どこからがこの著者である山岸さんの考えなのかはちょっと分かりません。
また、私はいわゆるバンドをやっていますが、オーケストラはやったことがありませんので、オーケストラという組織についてもどの程度妥当性があるのかは分かりません。
 
ただ、現代のような膨大な情報が猛烈なスピードで流れる社会の中で組織が(特に会社組織ですが)、その流れについていくためには以前のようなトップダウン式の指揮命令系統では難しいのは事実ではないかと思います。
あまりに情報量が多すぎ、その種類も多彩で、それらを収集分析するための技術も以前とは比べ物にならないほど複雑になっています。そのような状況においては、確かにこの本で言われているようなリーダーが目的と方向性を具体的に示し、それに基づいて組織の構成員が自律的に、自分の判断で動いていく。もちろん適宜軌道修正は必要だと思いますが、そのようなスピード感で動いていける組織こそが、今の時代に合った強力な組織なのかもしれません。
 
そして、またそこで重要なのは、構成員が自律的に動きながらも周りの声をちゃんと聴くコミュニケーションの重要性を意識すること。
そして、何より自律的に動く構成員のことをリーダーがいちいち監視するのではなく、彼らを信頼して任せることが重要なのではないかと思います。
 
私にしては珍しく「組織のあるべき姿」を語ってしまいましたが、そのような組織論に興味がある方。あるいは実際に今属している組織の形に疑問を持ってらっしゃる方には、是非手に取って頂きたい良書だと思います。
※随所にオーケストラという組織の説明や、楽器の果たす役割の説明が入ってますが、興味なければそこは読み飛ばしても良いと思います。
 
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆