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重要なことを「説明しない政府」と「報道しないメディア」

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先日、日米首脳会談で発表された「物品貿易協定(TAG)」についての投稿をしました。

 

この記事では、「物品限定」のように思わせておいて、実は「二国間自由貿易協定」じゃねーか! というツッコミを入れておきました。

日本政府が「TPP以外の貿易協定をアメリカと結ぶことはない! 」と、偉そうに交渉の可能性自体を否定していた貿易協定です。

 

・・・が、実はこの貿易協定以外の部分で「日米共同声明」の中で気になっているところがあったので、今日はその事について投稿します。

 

中国との対決姿勢を明文化した日米共同声明

それは共同声明の6項目目に書いてある下記の文言です。

 

日米両国は,第三国の非市場志向型の政策や慣行から日米両国の 企業と労働者をより良く守るための協力を強化する。したがって我々 は,WTO改革,電子商取引の議論を促進するとともに,知的財産の収奪,強制的技術移転,貿易歪曲的な産業補助金,国有企業によって 創り出される歪曲化及び過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処する ため,日米,また日米欧三極の協力を通じて,緊密に作業していく。

 

これって簡単に言うと

 

「“どこの国”とは言わないけど、日本、アメリカ、ヨーロッパ諸国以外の“とある国”が、国家ぐるみで市場経済を無視した強引な手段を使って不公正な行いをしている。それに対抗するために、日本はアメリカに協力しろ。」

 

っていうことです。

どこの国とは言っていませんが

 

「日米以外の第三国」

「知的財産の収奪」

「国有企業によって 創り出される歪曲化」

 

こういうキーワードを拾っていくと該当する国は一つしかありません。

そう中国です。

 

また、これと符合するように下記のNewsweekの記事ではアメリカの商務長官が、先に締結された新しい北米自由貿易協定中国との貿易協定締結を阻止する「毒薬条項(ポイズンピル)」が盛り込まれており。日本や欧州連合(EU)などとの貿易協定にも取り入れる可能性がある、と述べています。

 

 

敢えてツッコミを入れるとすれば、「“可能性がある”も何も既に共同声明に盛り込まれてるじゃねーかwww」という感じですが・・・。

そのようなツッコミはさておき、この「毒薬条項」が日米共同声明に盛り込まれたということは何を意味するのでしょうか?

 

それは、アメリカの「中国との貿易戦争に本気出していくから、お前(日本)も協力しろよ。」という脅しに対し、日本政府は「分かりましたーー! アメリカさんに全力でついていきます!!」と宣言したということ。

つまり、国を挙げて中国との貿易戦争に協力する姿勢を明確にした、ということです。

 

これ、すごくないですか?

いわゆる主要メディアでは今回の日米首脳会談について、物品貿易協定(TAG)の話に終始していますが、下手したらこちらの方が大きなトピックにかもしれません。

 

 

「自由」「公正」「民主主義」はアメリカとの共通の価値か?

日本政府・・・特に安倍首相は「共通の価値観」を有する同盟国として、アメリカとの友好関係を重視してきました。そして、その共通の価値観とは、いわゆる「民主主義」「自由」「平等」「公正」というような言葉に代表されるリベラリズム的な価値観です。

そのような価値観に従うのであれば、本来中国がどのような手法で経済を活性化させ、市場を席巻しようが文句を言う筋合いはないはずです。それが自由ということですから。

※それが正しいとか言っているのではなくて、「自由」という言葉をそのまま解釈すれば、そのようになると言うだけです。

 

ですが、今回の宣言でそのような(アメリカは名指ししていませんが、どう考えても)中国側の「自由」は市場の公平さを歪ませ、貿易の不均衡を生むとし、それに対抗する措置を日米欧で協力して行っていく方針を打ち出したのです。当然中国はこれに対し、自らの経済政策の正当性と、日米の措置が自由貿易の理想に反するものだと批判するでしょう。

 

私は別にここでどちらの主張が正しいか?などと言いたい訳ではありません。

私が言いたいのは

 

国家同士の「自由」などというものは所詮その程度のもの。自分たちに都合が良ければ「自由」を認めるし、自分たちに都合が悪ければ「ズルをしている」として文句をつける。

つまり国際政治を勝ち抜くための方便にしか過ぎない「自由」とやらを、「アメリカとの共通の価値観」として金科玉条のように奉る日本の政府がどうかしている

 

ということです。

 

そのような自由という共通の価値観の下、アメリカに追従し、いざ中国と事を構えるようなことになったら、日本はその最前線に立たされる訳です。そのような事態になりかねない一手を、日本政府は国民に何の説明もなく既に打ってしまいました。その上、それに対処するための緊密な作業を進めていく、と約束させられてしまった訳です。

 

日本や米国、そして欧州諸国のグローバリズム的な政策により、多くの企業が中国との関わりを昔より大きくしています。

中国産の商品が世界を席巻しているという面だけではなく、中国の人件費の高騰から今では東南アジア諸国などに工場が移りつつあるものの、多くの民間企業が中国国内に工場を留めたまま。そしてその膨大な人口に裏付けされた巨大な市場に多くの企業が前のめりに進出をしているのが現状です。

そのような中で政府はその方針をグローバリズム的政策から反グローバリズム的な政策へと転換すると明言してしまいました。

民間企業の多くはこれから中国政府と日米欧の新たな方針の狭間で揺れ動くことになるでしょう。

 

このような重大な方針転換を「外務省HP」において公表はしたものの、国民に説明をしない日本政府。そして、その重要性を知ってか知らずか一切報じない日本のメディア。日本国民の最大の不幸はその狭間で放置された社会構造にあるのかもしれません。

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆