Dive Into The World

話題のニュースがどんな意味を持つのかを分かりやすく解説。普通の人たちと専門家をつなげるようなブログを目指します。

デフレ経済によって得をするのは誰か。

昨日の投稿でデフレから脱却できないことの原因の一つは「日本がデフレになっている方が自分にとってメリットがある人がいるから」と書きました。今日はそのことについて少し書きたいと思います。

 

「デフレが自分とってメリットがある」というのは言い換えれば、「デフレの方が都合が良い人たちがいる」ということです。

 

一体それは誰なのか。

それを考える時のキーワードになるのが「民営化」です。

 

昨日、一昨日の投稿でも書いたようにデフレ不況の中では、物価下落を上回るスピードで国民の所得がどんどん下がっていきます。国民の所得が下落すると、国の財政は悪化します。

なぜなら税率が同じであれば所得が減った分だけ税収が下がる一方、社会保障費や公共サービスへの出費は減らない・・・むしろ増えるケースさえあるからです。

 

本来はそこで政府がお金を使って経済を活性化させるというのが正しい政策です。

ですが、そうはなりません。

 

「財政が悪化しているんだから、支出を減らすしかない!!」

「民間の活力と競争原理を取り入れればもっと安くサービスを提供できるはず!!」

 

という方針になります。今の日本が正にそうですよね。

 

なぜなら、民営化によって事業を受注することになる会社の代表が政府の審議会に入り込み、「公共サービスという永続的に必要なサービスを民営化させることで、莫大な利益を大企業が横取りできる」ので、政府や国民に「いかに民営化が素晴らしいか」「いまの公共機関のサービスがどれだけ高いか」を新聞やニュースなどを使って大々的に宣伝するからです。

 

そして、一方国民の方も「私達はこんなに大変な思いをしているのに、公務員は安定した生活を手にしていてズルい!!」という思いから、「公務員の数を減らせ」「民間の厳しさを教えてやれ」と叫び、「民営化することでより安くサービスが提供できる」というストーリーを支持します。

その結果、自分たちの税金が特定の企業に搾取される結果になるとも知らずに。

 

実は、このような公共サービスの民営化は、海外では既にその動きが随分前から進んでいました。引用記事の水道の民営化もその話の一貫です。しかし、その民営化は正しい選択だったのでしょうか。

たとえば、水道事業の運営を民間企業に一任したアメリカのアトランタでは

 

民間企業と水道事業のコンセッション契約をしましたが、20年の契約終了を待たずに、たったの4年で契約解消しています。その間に企業は人員を半分にまで削減し、そのうえ毎年料金を値上げしました。一時期は、蛇口から濁った水が出て沸騰させなければ飲めないほど水質が悪化したのです。

 

このような例は枚挙に暇がありません。水道事業の民営化は効率性と安い水道料金をもたらすと海外でもいわれてきました。しかし、実際には、多国籍企業が参入した結果、水道料金は値上がり、人件費削減によってサービスが劣化する事例が世界各地で見られています。

この事態を受けて海外では“再”公営化への道が進んでいるのが実態なのです。

 

しかし、我が国日本でもこのような水道事業への民間企業の参入が少しずつ進められています。静岡県浜松市ではすでに外資系企業への水道事業売却が決まっています。

海外で導入されその弊害の大きさに注目が集まり、再公営化が進む中で正に周回遅れで導入へと向かっているのです・・・。

 

もちろん、公共サービスは全て公的機関に任せておけば未来永劫安泰という訳ではない。時には公的機関であることによる弊害が目につくこともあるだろう。しかし、現在のやり方の一部に問題があるからと言って、それを全て取りやめ全く違う方法を採るというのはまた別の弊害を生むことにしかなりません。

なぜなら、公共サービスに限らず人間の全ての活動に「完全無欠」「100点満点」ということはあり得ないからです。

 

一時的には完璧に思われても時代や周りの状況、それに関わる人が変われば何かしら問題は出てきてしまいます。それは避けようがありません。だからと言って、その度にシステムを根幹から変えていてはいつまでもノウハウの蓄積も人材の育成もできません。

しかし、公共サービスのように非常に多くの人の生活に関わり、しかも何年、何十年というスパンで運営が必要なものこそ、そういった長年の経験の中で培われたノウハウの蓄積によって、永続的なシステムを少しずつ作り上げていくことが重要なのです。

 

決して数ヶ月、数年程度の短い利益計算によって運営が左右されるような脆弱なシステムで進められてはならないのです。

 

私達は今の私達の力だけで生きているのではない。

私達の生活は先人たちの蓄積を基盤の上に成り立っています。

そして、私達は次の世代に受け継いでいかなければなりません。

 

私達がどのような基盤の上に生きていけるのかをもう一度見つめ直せば、何でもかんでも民営化することが本当に未来の国民のためになるのかが分かってくるのではないでしょうか。 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆